MHD/流体モデル班研究開発まとめ

科学技術振興事業団:計算科学技術活用型特定研究開発推進事業
「宇宙シミュレーション・ネットラボラトリーシステムの開発」

                     平成15年 3月

「標準MHDコードと3次元可視化ツールの研究開発計画と内容」
  荻野竜樹(名古屋大学太陽地球環境研究所)


1.研究題目

スペースプラズマシミュレーション実施支援システムの開発、
及びシミュレーションデータ共有解析システムの開発

2.研究目的

電磁流体(MHD)・流体モデルを利用して、ネットワークを通じてスペースプラズマ
シミュレーションを行うことができるシステムの開発を目的とする。更に、シミュ
レーション情報と結果の呈示を行うために、動画作成と3次元可視化を主体とした
シミュレーションデータ共有解析システムを開発する。

このために、スペースプラズマMHDモデルシミュレータのコンプリートコードにお
いて各モジュールの仕様を検討して、MHDコードの作成と基本動作の確認を行う。
並行して、シミュレータ用インターファイスを開発し、3次元可視化(VRML)と
動画作成モジュールの設計開発を行う。更に、磁気圏、電離圏、熱圏のMHD・流体
シミュレーションのデータベースコンテンツの作成を行う。

3.研究経過及び成果の概要

「宇宙シミュレータ・バーチャルラボシステムの構築」では、天体シミュレーショ
ン実施支援システムは国立天文台に、スペースプラズマシミュレーション実施支援
システムは京都大学宙空電波科学研究センターに置き、ネットワークを介して両者
を共有化するシステムの開発を目標とした。天体とスペースの統合システムは、国
立天文台と京都大学に設置し、そのシステムで、インターネットを介してのシミュ
レーションの実行と結果の取得、データベースの開示を実現した。MHD・流体コード
班では、標準MHDコードの開発・提供、VRMLによる可視化ツールの開発と標準化・提
供、太陽風と地球磁気圏電離圏相互作用の3次元グローバルMHDシミュレーションへ
の適用及び作成したコンテンツの提示、Webのホームページを介しての計算依頼と計
算結果取得を確立した。

4.研究成果の詳細内容

本計算科学活用型特定研究開発推進事業「宇宙シミュレータ・バーチャルラボシス
テムの構築」では、天体シミュレーション実施支援システムは国立天文台に、スペ
ースプラズマシミュレーション実施支援システムは京都大学宙空電波科学研究セン
ターに置き、ネットワークを介して両者を共有化するシステムを開発し、各研究グ
ループから自由に利用できるようにすることを目指した。その中で、私達のMHD・
流体コード班の第1段階の研究開発内容は、(1)標準MHDコードの開発・提供、(2)VRML
による可視化ツールの開発と標準化・提供、(3)太陽風と地球磁気圏電離圏相互作用
の3次元グローバルMHDシミュレーションへの適用方法とその例、及び作成したコン
テンツの提示、(4)Webのホームページを用いての計算依頼と、計算結果の図形表示
方法の確立であった。

これらの成果を以下にまとめると、まず(1)と(4)については、太陽風と地球磁気圏相
互作用に関する一つのコンプリートMHDコードを説明を付けてWebのホームページで提
供し、更に、そのMHDコードを京都大学宙空電波科学研究センターのPCクラスター計
算機に移植した。そしてWebのホームページを通してパラメータを設定することにより、
遠隔地からの計算依頼、計算結果の図形出力をホームページから取得することができ
るようにした。(2)については、「VRMLの利用方法」の第0版の和文と英文マニュアル
を作成し、かつその全部のプログラムを含めてCD-Rに納め、計算科学プロジェクトリ
ーダー全員に配布した。(3)についても、太陽風と地球磁気圏相互作用の様々な3次元
グローバルMHDシミュレーション結果を「VRMLの利用方法」のCD-Rに納めて提供した。
更に、MHDコード・ハイブリッドコード及び粒子コードを比較できるように、衝撃波形
成の1次元MHDコードをWebのホームページを通して、同じように計算依頼と計算結果
の取り出しと動画作成を可能にした。これは、コードの違いによってシミュレーショ
ン結果がどの様に異なってくるのかを理解する基本課題として作成したものである。

更にMHD・流体コード班のまとめとして、標準MHDコードの開発・提供とVRMLによる可
視化ツールの開発と標準化・提供は、改良版コンプリートMHDコードのWebとCD-Rでの
提供、及び「VRMLの利用方法」の第0版マニュアルの改良・充実・拡張を実施した。
こうして、平成14年(最終年)度までに、スペースプラズマMHDモデルシミュレータ
のコンプリートコードと、各モジュール・図形処理プログラムとの結合の動作確認を
実施するのと同時に、より使い易いソフトウエアシステムとするための改善・改良・
充実を図り、説明文を付けてWebで公開した。更に、3次元可視化(VRML)、動画シス
テムの実用性を確認して、本計算科学プロジェクトの他のシミュレーションデータに
も適用できることを実証した。こうして、太陽風磁気圏相互作用のグローバルMHDシミ
ュレーション結果のデータベースコンテンツと電離圏磁気圏結合関連のデータベース
コンテンツを継続的に作成し、本計算科学プロジェクトの成果を次のHomepageでまと
めて提供することができるようになった。

また、本計算科学活用型特定研究開発推進事業の成果を問うために、天体とスペース
プラズマのシミュレーションサマースクール(流体・磁気流体、ハイブリッド、粒子
モデルコース)を平成14年9月9日(月)ー13日(金)に名古屋大学情報メディ
ア教育センターで実施した。参加者は、講師が27名、大学院生を中心とする全国か
らの受講者が110名であった。受講者には基本課題・応用課題を課して、課題発表
会を実施し、密度の高い充実したサマースクールとして受講者から好評を得た。

 計算科学技術活用型特定研究開発事業・MHD/流体コード班のHomepage
  http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/index.html
 磁気圏(グローバル):データベースサイトのHomepage
  http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/jst/jikiken.html

5.その他参考となる事項(なければ特になしでいい)

(1) 太陽風と地球磁気圏相互作用の3次元電磁流体力学(MHD)コードと図形出力

  プログラムのWebでの公開
   Homepage of Examples of 3D MHD Code and Graphic Programs
     URL:http://gedas.stelab.nagoya-u.ac.jp/simulation/jst2k/hpf02.html

(2) インターネット3次元可視化言語、VRML(Virtual Reality Modeling Language)
  の利用ツール開発と、「VRMLの利用方法」のWebでの公開及びCD-ROMでの提供

   FortranによるVRMLの利用方法のホームページ(和文)
   http://gedas.stelab.nagoya-u.ac.jp/simulation/jst2k/vrhtml/jst02b.html
   Homepage of How to Use VRML (English)
      http://gedas.stelab.nagoya-u.ac.jp/simulation/jst2k/vrhtml/jst02b_e.html

(3) インターネットを介しての太陽風と地球磁気圏相互作用の3次元MHDシミュレ
  ーションの実行と図形出力結果の取り出し。ネットワークを介したシミュレーシ
  ョンは京都大学宙空電波科学研究センターのコンピュータで実施

   ASTRO/SPACE SIMULATORのホームページ
   http://www.astro.phys.s.chiba-u.ac.jp/netlab/
   Space Plasma Simulatorのホームページ
   http://www-netlab.kurasc.kyoto-u.ac.jp/top/index.html
   MHD Simulationのホームページ
   http://www-netlab.kurasc.kyoto-u.ac.jp/~mhd/htdocs/mhd_top.html

(4) 天体とスペースプラズマのシミュレーションサマースクールを平成14年9月9日
  (月)ー13日(金)に名古屋大学情報メディア教育センターで実施

   シミュレーションサマースクールのホームページ
   http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/summer-school/index.html
   サマースクール講義テキスト(PDFファイル)
   http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/summer-school/text.html



標準MHDコードと3次元可視化ツール

mhdmodel   :地球磁気圏の3次元グローバルMHDシミュレーションコード
  eartha   :3D MHD model with 1/2 volume (IMF By and Bz)
  earthb   :3D MHD model with 1/4 volume (IMF Bz only)
  earthc   :3D MHD model with 1/2 volume (dipole tilt)
  mhd3a    :MHD test programs (processing capability)

vrml       :VRMLによる3次元可視化のためのFortran Program
  vrmanual.doc  :VRML利用方法(WORD)
  e_vrmanual.doc:VRML利用方法(WORD)(English)
  vrmanual.pdf  :VRML利用方法(PDF)
  e_vrmanual.pdf:VRML利用方法(PDF)(English)
  vrhtml     :Fortran Programと実行例(HTML)
  e_vrhtml    :Fortran Programと実行例(HTML)(English)
  vrml1      :基本的Fortran Program
  vrml2      :基本的Fortran Programと応用

postscript   :PostScript言語による画像処理Program
  postsc1    :examples of test PostScript program
  postsc2    :color code example of PostScript program

mhdmodel2   :VRMLによる様々な地球磁気圏3次元MHDモデルの可視化
  eartha   :Half volume model of earth's magnetosphere with IMF By and Bz components
  earthb   :Quarter volume model of earth's magnetosphere
  earthbq   :Quarter volume model of earth's magnetosphere (a quarter display)
  earthc   :Half volume model of earth's magnetosphere with dipole tilt
  earthd   :Whole volume model of earth's magnetosphere

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hpfja     :HPF/JAによる地球磁気圏の3次元グローバルMHDコード
  heartha     :HPF/JAによるMHDコード(境界条件など)
  hearthb     :HPF/JAによるMHDコード(コンプリートコード)
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vppfort    :VPP Fortranによる地球磁気圏の3次元グローバルMHDコード
  pwave    :VPP Fortranによる波動方程式の計算コード
  vearthb   :VPP FortranによるMHDコード(境界条件など)

engineer   :電気回路理論とシミュレーション工学の計算機実習
  kairo    :電気回路理論(集中定数回路)
  kairo2      :電気回路理論(分布定数回路)
  simu    :シミュレーション工学の計算機実習(wave equation)
  simu2    :シミュレーション工学の計算機実習(K-dV equation)