研究計画の概要について

共通並列計算電磁流体・粒子コードによる太陽風磁気圏電離圏ダイナミックスの研究 


研究の目的 

世界最高速の性能を誇る国産の新世代並列型スーパーコンピュータを用い、スペース プラズマ現象を効率よく並列計算できる、High Performance Fortran (HPF)とMessage Passing Interface (MPI)の共通コンピュータ言語を用いた電磁流体コード、粒子コード、 及びハイブリッドコードを作成して、世界に先駆けた大規模シミュレーションとそれらのコ ードを連携した大規模シミュレーションから太陽風磁気圏電離圏ダイナミックス(特に構造 変化と粒子加速/加熱、マクロ・メゾ・マイクロスケール現象の結合)を調べ、スペースプ ラズマの非線形物理に新しい知見をもたらすのが本研究の目的である。このために、先ず研 究機関の異なるグループで開発された、最新の電磁流体/ハイブリッド/粒子コードを、共 通コンピュータ言語(HPFとMPI)で、並列化/ベクトル化効率を十分に出せるように書き換 える。次に、新世代並列型スーパーコンピュータ上で大規模スペースシミュレーションを実 行することによって、太陽風磁気圏電離圏相互作用、磁気リコネクションのダイナミックス と粒子効果、太陽風と惑星間磁場の変化に対する太陽風磁気圏電離圏熱圏の電磁気的/物質 的環境変化と応答の解明を行い、宇宙プラズマにおける非線形物理の解明に新しい展開をも たらす。 


本年度の研究実施計画 

世界最高速の性能を誇る国産の新世代並列型スーパーコンピュータ、富士通VPP5000、日立 SR8000、NECSX-6及びそれらのファミリーコンピュータを用いて、そのいずれでも効率よ くシミュレーションできる「共通並列計算電磁流体コード、粒子コード、及びハイブリッド コード」を共通コンピュータ言語(HPF:High Performance Fortranと MPI: Massage Passaing Interface)を用いて順次開発していく。このためには、先ず、研究機関の異なる 研究グループが協力して各グループで開発された、最新の電磁流体/ハイブリッド/粒子コード を共通コンピュータ言語(HPFとMPI)で、並列化/ベクトル化効率を十分に出せるように短期 間で集中して書き換えることが必要となる。 大規模スペースシミュレーションの実行は名古屋大学情報連携基盤センターの並列型スーパーコ ンピュータ、富士通VPP5000/64を主に用いて行い、更に国立極地研究所(日立)と京都大学宙 空電波科学研究センター(NEC)の並列型コンピュータを有機的に利用する研究協力を行う。 主な経費として、名古屋大学情報連携基盤センターを利用して大規模スペースシミュレーション を実行するために1,500千円の計算機利用料金を計上し、本年度に6つの大学でネットワーク経 由でスーパーコンピュータを利用し、大量計算データを取得・保管して可視化などの解析するた めのコンピュータを導入する予定である。こうして、独自の技術を持った異なる研究機関のグル ープが連携して、共通電磁流体コード、粒子コード、及びハイブリッドコードの高効率化並列計 算法の開発と検証を進めていく。続いて、開発した共通並列計算電磁流体/ハイブリッド/粒子 コードを用いて、太陽風磁気圏電離圏相互作用の解明、磁気リコネクションのダイナミックスと 粒子効果の解明、太陽風と惑星間磁場の変化に対する太陽風磁気圏電離圏熱圏の電磁気的/物質 的環境変化と応答の解明、及び宇宙プラズマにおける非線形物理の解明を行うために大規模シミ ュレーションを実行していく。 


平成14年度申請額と交付予定額 
平成14年度申請額 と交付予定額(千円)
     研究経費 設備備品費  消耗品費  国内旅費  外国旅費  謝金  その他
申請額      11,100       5,500     1,500       600       600   800   2,100
交付予定額   9,900       4,996     1,405       599       600   700   1,600

平成14年度使用予定額(案)(千円)(主に設備備品費と消耗品費に当てる)
 渡部(北大)       900
 寺澤、星野(東大)    900
 藤本(東工大)      900
 鵜飼(愛媛大)      900
 羽田(九大)       900

               申請額    交付予定額(千円)
平成15年度      7,200        6,000
平成16年度      7,000        5,900
平成17年度      5,100        4,300

研究組織 
 荻野竜樹  名古屋大学・太陽地球環境研究所  
               共通MHDコードによる太陽風磁気圏電離圏の研究と総括

 品川裕之  名古屋大学・太陽地球環境研究所
               共通流体コードによる電離圏熱圏磁気圏の研究

 西谷 望   名古屋大学・太陽地球環境研究所 
               磁気圏電離圏対流の研究

 渡部重十  北海道大学・理学研究科       
               共通流体コードによる電離圏熱圏の研究

 岡田雅樹 国立極地研究所・情報科学センター 
               共通粒子コードによるプラズマ波動非線形現象

 寺沢敏夫 東京大学・理学系研究科        
               共通MHDコードによるプラズマ波動非線形現象

 星野真弘  東京大学・理学系研究科        
               共通粒子コードによる磁気リコネクションの研究

 藤本正樹  東京工業大学・理工学研究科  
               共通ハイブリッドコードによる磁気リコネクションの研究

 篠原 育   宇宙科学研究所・宇宙科学企画情報解析センター
               共通粒子コードによる磁気リコネクションの研究

 大村善治   京都大学・宙空電波科学研究センター
                共通粒子コードによる非線形プラズマ波の研究

 鵜飼正行  愛媛大学・工学部             
               共通MHDコードによる磁気リコネクションの研究

 羽田 亨    九州大学・総合理工学府      
                宇宙プラズマの非線形現象の解析

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