平行衝撃波による粒子分布関数の進化

グループ5a  大野 加藤 榊間 下田

ハイブリッドコードによる衝撃波シミュレーションを行い、プロトンの分布関数
の進化に着目した。

1.垂直衝撃波の場合
   model  I (垂直衝撃波 (80度) マッハ数=5.5
40ジャイロ周期)から以下のことがわかった。

 ・エネルギー空間の拡散によりマックスウェル分布の分散が大きくなる。
 ・高エネルギー側でのフラックスのエネルギー依存性は、J(E) \propto
E^{-4}程度。

強い衝撃波での理論予測よりスティープである。この時間では十分なショック加
速が達成されていないのかも知れない。

2.平行衝撃波の場合
    model II ( 平行衝撃波(0度) マッハ数=5.5
40ジャイロ周期)の結果、以下のことがわかった。

    ・上流側の特徴     ダブルピーク、分散は小さめ
    ・下流側の特徴     分散が大きめ


図1に分布関数を示す。横軸はショック系で見た粒子エネルギーをマッハ数の2
乗で規格化したものの対数、縦軸は粒子数(フラックス)の対数。垂直衝撃波に比
べて高エネルギー側での分散は大きい。よく見ると、初期ピークの10倍程度の
ところにもう1つピークがある。これはショック上流側でのみ見られた。

3.考察

平行衝撃波の場合で、1)ピークをつくる粒子の軌道、2)最高エネルギーに加速さ
れた粒子の軌道を比較してみた。結果、

1)ピークをつくっている粒子は、ショックフロント付近の波動で散乱され、フロ
ント前後を行ったり来たりしながら加速されている。図2に粒子の軌道を示す。
最終的に、上流方向に大きな速度を得て上流側に抜けた。

2)最高エネルギーになった粒子は、ショック後方まで侵入し、波により散乱され
最終的に大きなエネルギーを獲得したようである。

衝撃波面に対して上流と下流の領域の分布関数が異なることから、加速された粒
子には2パターンあると考えられる。今回、粒子の軌道を追跡することによって
、加速される領域が衝撃波面であることを確認できた。衝撃波面における磁場や
電場の激しい変動によって、粒子は前後に急激に加速される。その結果、負に加
速された粒子は上流に逆流し、正に加速された粒子はさらに下流に侵入すると考
えられる。しかしながら粒子を急激に加速するメカニズムを特定するには、粒子
の軌跡と磁場と電場の時間変動の詳しい解析が必要である。

fig1


fig2