プラズマ波動不安定性の粒子シミュレーション II

研究者名 大村善治、松本紘、三宅壮聡、小島浩嗣 (京都大学生存圏研究所)
データベース名 プラズマ波動不安定性の粒子シミュレーション II
提供機関名 京都大学生存圏研究所
概要 このデータベースは宇宙空間で生起しているプラズマ波動の中でも最も基本的でプラズマ粒子のエネルギー変換・運動量輸送に大きな役割を果たしている静電波の生成過程を粒子モデルの計算機シミュレーションにより動画として再現したものを集めたものである。 静電孤立波(Electrostatic Solitary Waves: ESW)の発生機構として考えられる電子ビーム不安定性の非線形発展過程が、電子ビームおよび背景イオンの熱速度に依存して大きく変化するこ とが、6つの異なるパラメータ・ランによって示されている。「静電波の粒子相互作用の中でも、ここに収録した電子ビーム不安定性は、磁力線に沿って発する最も基本的な非線形過程の一つであり、線形理論では記述できない電子ビームのダイナミックな振る舞いを経て、安定した静電孤立波が形成される過程を見ることができる。ここで示す静電孤立波が、地球磁気圏尾部領域のプラズマシート境界層において頻繁に発生していることが、1992年 に日米共同プロジェクトとして打ち上げられた科学衛星GEOTAILに搭載されているプラズマ波動観測装置の波形観測によって初めて明らかにされた。以後の他の科学衛星によっても、オーロラ領域等の電流が流れる境界層においても同様の静電孤立波が観測されており、ここに紹介する電子ビーム不安定性が実際の宇宙プラズマ中で生起していることを示唆している。孤立化した波動を周波数スペクトル受信機で観測すると、広帯域のノイズとして観測さ れることから、GEOTAIL衛星以前の観測においては、静電孤立波は広帯域静電ノイズ(Broadband Electrostatic Noise: BEN)と呼ばれていた。 この広帯域ノイズの低周波の部分には電磁波の成分も含まれており、静電孤立波だけでは説明できず、イオンのダイナミックスも含めて宇宙プラズマ中の孤立ポテンシャル構造に関する研究が活発に進められている。 

本データベースに収録されている主な図面は、以下の3つのパネルから構成されている。上から順に、電子の速度位相空間(X,Vx)における分布関数f(X, Vx)、電場Ex(X)、静電ポテンシャルΦ(X)を表している。このデータベースに収録された計算機シミュレーションについての詳しい内容は、次の文献に述べられている。

Y. Omura, H. Matsumoto, T. Miyake and H. Kojima, Electron Beam Instabilities as Generation Mechanism of Electrostatic Solitary Waves in the Magnetotail, Journal of Geophysical Research, vol. 101, pages 2,685-2,697, 1996.



尚、このデータの作成に使われたシミュレーションコードについての解説は以下の文献に詳しく述べられている。

Y. Omura and H. Matsumoto, KEMPO1: Technical Guide to One-Dimensional Electromagnetic Particle Code, Computer Space Plasma Physics: Simulation Techniques and Softwares, edited by H. Matsumoto and Y. Omura, pages 21-65, Terra Scientific, Tokyo, 1993.

http://www.terrapub.co.jp/e-library/cspp/index.html



問い合わせ先 大村善治
京都大学生存圏研究所
〒 611-0011宇治市五ヶ庄
TEL: 0774-38-3811
omura[AT]rish.kyoto-u.ac.jp
公開情報

../sramp/cdrom/sm0005/index.html

GEOTAILプラズマ波動観測のホームページ

http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/space/gtlpwi/

CAWSES & S-RAMP CD/DVD-ROM SM0005 SM0009