CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース
CAWSES Space Weather International Collaborative Research Database in Japan



Climate And Weather of the Sun-Earth System (CAWSES)

CAWSES宇宙天気国際協同研究データベースの概要(作成目的・作成の意義)

国際学術連合会議-太陽地球系物理学・科学委員会(ICSU-SCOSTEP)は、 21世紀最初の国際協同研究計画として 太陽地球システムの宇宙天気と宇宙気候を調べるCAWSES国際協同 研究(Climate And Weather of the Sun-Earth System、2004-2008年) を実施することを決めた。

CAWSES国際協同研究では、
1. 太陽地球システムの短期変動(宇宙天気)と長期変動(宇宙気候)の観測的研究 
2. 観測・理論・モデリング/シミュレーション間の有機的な結合をはかる総合的研究
が実施される。

そのCAWSES国際協同研究の短期変動(宇宙天気)に対して、我が国が積極的に参加 するための全国共同研究の共通基盤となる「CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース」 を作成する。

具体的には、S-RAMP期間と2003年度のデータベース作成を発展させて、 2004-2008年度にCAWSES宇宙天気国際協同研究として取得される地上 及び衛星観測のデータに解析ソフトウェアと解析結果を加えたデータ ベース、及びモデリング/シミュレーションのソフトウェアに計算結果 を加えた共通データベースを作成する。我が国が主体的にCAWSES宇宙天気国際協同 研究の共通基盤としての日本発のデータベースを作成し、国内外のCAWSES協同研究者 の利用に供することは、CAWSES国際協同研究推進の大きな原動力となり、国際貢献と しても重要な意義をもつ。

CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース作成計画

太陽地球系物理学の国際協同研究、STEP計画(1990-1997)と S-RAMP計画(1998-2002)では、太陽画像、太陽電波、惑星間空間、 磁気圏、電離圏、大気圏観測の大量のデータが取得され、今日まで で全体で約21TBのデータが蓄積されている。S-RAMPデータベース 作成(1998-2002)では、観測データに解析ソフトウエアとモデ リング/シミュレーションデータを加えてオンラインでのデータ 提供・公開(http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/web1/sramp/index.html)、 CD-ROM作成・配布(S-RAMPデータベースとして 46枚を国内200と国外250配布)、国内の太陽地球系のデータの 所在情報を集約した英文と和文のS-RAMPデータカタログ・利用 マニュアルの作成・配布を実施した。 これら日本発の太陽地球系物理学データベース作成の継続・発展 として、CAWSES宇宙天気国際協同研究(2004-2008)の基盤と なるデータベースを作成する。

先ず、利用要求・利用頻度の高い データで、データ提供者の了解が得られたデータは、オンライン・ データベースとして公開していく。利用者の多い大量データと 基本的解析ソフトウェアを一緒にしてCD-ROMに納め、国内外の 主要なCAWSES国際協同研究者(国内約200・国外約250)に配布 する。利用者が限られた大量のデータ、特にプロット紙や写真 等のアナログからデジタルに変換するデータはCD-ROMオリジ ナル版を作成してデータの電子化を計る。更に、太陽画像、 地磁気1秒値、大気圏光学観測などの大量データはDVD-RAMに 源データとして保管する。

平成16年度は、S-RAMPデータベース作成と2003年度の宇宙天気 データベース作成の実績と経験を生かして、2004年から5年計画 で実施されるCAWSES国際協同研究の太陽地球システムの短期変動 (宇宙天気)の観測とモデリング/シミュレーション間の有機的 な結合をはかるCAWSES宇宙天気国際協同研究データベース作成を 開始する。具体的には、CAWSESデータの中から宇宙天気研究データ を選び、更に新規の宇宙線や超高層大気の光学観測データを追加 してデータベース作成を実施する。項目としては、

1.太陽・宇宙線データ(太陽画像・電波画像):1画像=1000×1000 pixel×1byte=1MB、
2.磁気圏データ(磁場、プラズマ、粒子):1日データ=86400×3×2bytes=516KB,
3.電離圏データ(観測各点、地磁気3成分、オーロラ画像):1日データ=864000×4×4byes×80地点=830MB、
4.大気光学観測データ:1日データ=500×500 pixel×1000×4×1byte=1,000MB,
5.モデリング/シミュレーションデータ(磁場モデル、電流系モデル、Kinetic シミュレーション他):1サンプリングデータ=400×100×100×8×4bytes=128MBなどがある。

これらのデータベースを作成して、日本の宇宙天気研究促進と国際貢献に役立てる。

CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース公開の方法

CAWSES宇宙天気研究データベースの公開も、S-RAMPデータ ベースの場合と同様に、利用者の数とデータ量によって次 に示す4種類のカテゴリーに分類してデータベースを公開 する。即ち、

カテゴリー1:利用者が多い中規模までのデータはオンラインで提供・公開、
カテゴリー2:利用者が多い大量のデータはCD-ROM(DVD-ROM)原版作成・プレス配付、
カテゴリー3:利用者が限られた大量のデータCD-ROM原版作成(枚数限定)・必要に応じてプレス・提供、
カテゴリー4:源データとして保管する大量のデータはDVD-RAMで源データ保管し、必要に応じて貸し出す

などして利用に供する。

インターネット(Web)でのS-RAMPデータベースカタログ (英語版と日本語版)の公開は、平成11年6月から実施 (http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/web1/sramp/index.html) している。CAWSES宇宙天気研究データベースは、国際協同 研究者の便宜を考えて、2003年度の宇宙天気データベース と一緒にしてWeb(http://center.stelab.nagoya-u.ac.jp/cawses/index.html)で公開している。平成16年度 はオンラインでのCAWSES宇宙天気研究データ提供・公開を 開始して、更に内容を充実させていく。S-RAMPと同様、 CAWSES宇宙天気研究データベースのCD-ROM(又はDVD-ROM) 作成・プレス配布は、観測とシミュレーション・モデリング のデータ両方に対して行う。

CAWSES宇宙天気研究データベー スの作成では、各研究機関の委員が責任を持って、研究者と 謝金で雇用するアルバイトの人が協力して、個々のデータ 入力・作成を行い、まとめ役のSTE研では、教官、 研究支援職員、アルバイトの人が協力して、データの追加、 WEB公開データの更新を行う。 国立情報学研究所を中心とする全国大学間の学術情報シス テムでの可能性は、今後話し合っていきたい。データ公開 の具体的な方法・利用制限に関しては、データ提供者の条件 によるが、Webでの公開データは、アカデミックな利用であれ ば特に制限は設けない。CD-ROMは原則として研究グループを 代表する共同研究者に配布し、更に要求に応じて配布する。

CAWSES宇宙天気国際協同研究データベースの利用について

太陽地球システムの短期変動(宇宙天気)と長期変動 (宇宙気候)を解明する、CAWSES国際協同研究(Climate And Weather of the Sun-Earth System, 2004-2008年) に参加する国内外の協同研究者が利用の主体であるが、 かなりの研究者がS-RAMP国際共同研究者とも重なっている。 国内でも、宇宙天気研究として、太陽から地球までの様々 な観測データと解析データ及びモデリング/シミュレー ション結果を持ち寄って、宇宙天気予測の研究会が毎年数 回開催されており、それらの会議・研究会の参加者は中心 の利用対象者となる。また、宇宙天気研究は、人類に共通 の太陽地球システムを研究するので、米国、欧州、中国など でも組織的に進められており、それらの世界中の宇宙天気 研究者が利用対象者である。

利用内容に関しては、日本の研究者が観測したデータは、 国内でデータベース化することが必須であり、日本の研究 者によって開発・発展させられたデータ解析、モデリング/ シミュレーションのソフトウェアと計算結果は、我が国が 独自にデータベースを作成する以外に方法がない。このよ うな日本オリジナルの宇宙天気データベースを我が国から 発信することにより、国際相互データ・研究情報交換に よって、我が国の研究者も世界中の研究者もお互いに、 より多くのデータを相互利用することによって、人類に 共通の宇宙天気国際協同研究をより合理的に遂行できる。 このように国内外のCAWSES国際協同研究者からの利用が主 であるが、その他に、宇宙天気は広く一般社会でも興味を 持たれており、Webでの公開データは一般からの参照も多 数ある。

CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース(SPACEWDB-J)利用規定


CAWSESデータベース作成組織

(作成代表者)
荻野 瀧樹  名古屋大学・太陽地球環境研究所・教授
       STEデータの取りまとめ及び総括

(作成分担者)
福西 浩   東北大学・大学院理学研究科
       電離圏と大気圏観測データ

森岡 昭   東北大学・大学院理学研究科
       磁気圏粒子と木星観測データ

渡邊 尭   茨城大学・理学部
       宇宙線とSTP現象解析データ

星野 真弘  東京大学・大学院理学系研究科
       宇宙シミュレーションデータ

桜井 隆   国立天文台
       太陽観測データ

佐藤 夏雄  国立極地研究所
       極域総合観測データ

松岡 彩子  宇宙航空研究開発機構
       あけぼの衛星観測データ

上出 洋介  名古屋大学・太陽地球環境研究所
       KRMモデリングデータ

家森 俊彦  京都大学・大学院理学研究科
       地磁気総合解析ソフトとデータ

北井 礼三郎 京都大学・大学院理学研究科
       太陽紅炎活動データ

大村 善治  京都大学・生存圏研究所
       Kineticシミュレーションデータ

村田 健史  愛媛大学・総合情報メディアセンター
       データベースシステム設計

湯元 清文  九州大学・大学院理学研究院
       グローバル磁場及び工学観測データ

謝辞

このデータベースは、独立行政法人日本学術振興会平成17年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース(178062)および平成18年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)CAWSES宇宙天気国際協同研究データベース(188069)の交付を受けて作成した。
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