宇宙天気国際協同研究データベース
Space Weather International Collaborative Research Database in Japan
(略称:SPACEWDB-J)


English version is here.
  1. データベースの概要
  2. 作成組織
  3. データベース作成計画
  4. データベース公開の具体的方法
  5. 想定している利用対象者及び想定される利用内容
  6. 利用者からのアクセスを簡便にするための工夫

宇宙天気国際協同研究データベースCD-ROM/DVD-ROMの配布

国際学術連合会議ー太陽地球系物理学・科学委員会(ICSU-SCOSTEP)は、太陽地球 系エネルギー国際協同研究計画(STEP, 1990-1997)とS-RAMP 国際協同研究(1998-2002年)の成果を受けて、21世紀最初の国際協同研究計画 として太陽地球システムの宇宙天気と宇宙気候を調べるCAWSES国際協同研究 (Climate And Weather of the Sun-Earth System, 2004-2008年)を実施すること を決めた。その間の2003年度にCAWSES国際協同研究開始に繋ぐために、我が国が積 極的に参加するための全国共同研究の基盤となる「宇宙天気国際協同研究データベ ース」を日本学術振興会の平成15年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費) の支援を受けて作成し、そのデータベースの一部をCD-ROMとDVD-ROMとして編集し て国内外の共同研究者に配布した。

その宇宙天気データベースはネットワークと介しても閲覧できるが、CD-ROM & DVD-ROM (13枚)は、まだ手持ちが在るのでS-RAMPとCAWSES国際協同研究者には要求 に応じて送付する予定である。

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標題                      発行年月
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宇宙天気データベースCD-ROM & DVD-ROM (13枚)   2004年3月

(内訳)
1. Observation         SPACEWDB-J-OB0040 - SPACEWDB-J-OB0049 10巻
2. Simulation/Modeling  SPACEWDB-J-SM0008 - SPACEWDB-J-SM0010  3巻
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SPACE-W CD-ROM/DVD-ROM リスト


1.データベースの概要

太陽地球系エネルギー国際協同研究計画(STEP, 1990-1997)を推進した国際学術連合会議ー 太陽地球系物理学・科学委員会(ICSU-SCOSTEP)は、21世紀の国際協同観測計画策定に向けて STEPで得られたデータを有効利用する5年間の理論解析国際協同研究 S-RAMP(STEP-Results, Applications and Modeling Phase, 1998-2002年)を実施してきた。そのS-RAMP国際協同研究 の基盤となる日本発のS-RAMP国際協同研究データベースを1998-2002年の5年間に亘って作成して きた。ICSU-SCOSTEPは、S-RAMP国際協同研究の成果を受けて、21世紀最初の国際協同研究計画 として太陽地球システムの宇宙天気と宇宙気候を調べるCAWSES国際協同研究(Climate And Weather of the Sun-Earth System, 2004-2008年)を実施することを決めた。そのCAWSES国際協同 研究では、
1. 太陽地球システムの短期変動(宇宙天気)と長期変動(宇宙気候)の観測的研究
2. 観測・理論・モデリング/シミュレーション間の有機的な結合をはかる総合的研究
が行われる。S-RAMP国際協同研究は2002年に終了し、CAWSES国際協同研究は2004年から開始 なので、その間の2003年度に、CAWSES国際協同研究開始に繋ぐために、我が国が積極的に参加 するための全国共同研究の基盤となる「宇宙天気国際協同研究データベース」の作成を実施する。 具体的には、S-RAMP期間に引き続いて2003年度に宇宙天気国際協同研究として取得される地上及 び衛星観測 のデータに解析ソフトウェアと解析結果を加えたデータベース、及び モデリング/シミュレーションのソフトウェアに計算結果を加えた共通データベースを作成する。 更に、我が国が主体的に作成して、世界の研究者が利用できるようにすることは、国際貢献としても重要な意義をもつ。

2.作成組織

 
氏名所属機関・部局現在の専門分野役割分担

作成代表者

荻野 瀧樹名古屋大学・太陽地球環境研究所宇宙プラズマ物理学データ編集と取りまとめ及び総括 流体シミュレーションデータ

作成分担者

福西 浩東北大学・大学院理学研究科超高層物理学電離圏と木星観測データ
星野 真弘東京大学・大学院理学系研究科宇宙プラズマ物理学あけぼの衛星観測データ
林 幹治東京大学・大学院理学系研究科磁気圏物理学北極域磁場及び光学観測データ
桜井 隆国立天文台太陽物理学太陽データ
佐藤 夏雄国立極地研超高層物理学極域総合観測データ
松岡 彩子宇宙科学研究所・太陽系プラズマ研究系磁気圏物理学あけぼの衛星観測データ
上出 洋介名古屋大学・太陽地球環境研究所磁気圏物理学KRMモデリングデータ
家森 俊彦京都大学・大学院理学系研究科電磁気圏物理学地磁気総合解析ソフトとデータ
黒河 宏企京都大学・大学院理学系研究科太陽物理学太陽紅炎活動データ
大村 善治京都大学・宙空電波科学センター宇宙プラズマ物理学Kineticシミュレーションデータ
湯元 清文九州大学・理学部電磁気圏物理学STEP磁場及び工学観測データ
渡辺 堯茨城大学・理学部地球生命環境学科太陽系空間物理学STP現象解析データ

3.データベース作成計画

1990年から8年計画で始まったSTEP計画では、太陽画像、太陽電波、惑星間空間、磁気圏、 電離圏観測の大量のデータが取得され、今日までで全体で約11TBのデータが蓄積されている。 これは、S-RAMP(1998-2002) 期間中に更に毎年約2TBづつ増加した。更に、S-RAMPでは、 これらのデータを解析するソフトウエア、およびモデリング/シミュレーションのソフトウエア と計算データがデータベースとして提供されている。利用要求・利用頻度の高いデータで、 データ提供者の了解が得られたデータは、オンライン・データベースとして公開していく。 利用者の多い大量データと基本的解析ソフトウェアを一緒にしてCDーROMに納め、国内外 の主要なS-RAMP研究者(国内約200・国外約250)に配布する。利用者が限られた大量のデータ、 及び特にプロット紙や写真等のアナログからデジタルに変換するデータはCD-ROMオリジナル版を 作成してデータの電子化を計る。更に、地磁気1秒値などの大量データはDVD-RAMに源データとして保管する。

S-RAMPデータベース作成(1998-2002)では、オンラインでのデータ提供・公開、CD-ROM作成・ 配布(S-RAMPデータベースとして通し番号を付した34枚の国内200と国外250配布) を行った。平成12年度は中間まとめとして英文と和文の「S-RAMPデータカタログ・利用マニュアル」 を作成配布し、S-RAMP国際協同研究(1998〜2002)の最終年(平成14年)度は、国内の太陽地球系の データの所在情報を集約して、英文と和文のS-RAMPデータカタログ・利用マニュアルとしてまとめて、 配布する予定で準備を進めている。

平成15年度は、S-RAMPデータベース作成の実績と経験を生かして、2004年から5年計画で 始まるCAWSES国際協同研究に繋ぐ、太陽地球システムの短期変動の観測とモデリング/シミュ レーション間の有機的な結合をはかる宇宙天気国際協同研究データベース作成を1年計画で実施する。 具体的には、S-RAMPデータの中から宇宙天気研究に繋ぐべきデータを選び、更に新規の宇宙線や超高 層大気のデータを追加してデータベース作成を実施する。項目としては、太陽・宇宙線データ (太陽画像・電波画像):1画像=1000x1000 pixel×1byte=1MB、磁気圏データ(磁場、 プラズマ、粒子):1日データ=86400×3×2bytes=516KB,電離圏データ(観測各点、地磁気 3成分、オーロラ画像):1日データ=86400×4×4bytes×80地点=83MB、モデリング/シミュ レーションデータ(磁場モデル、電流系モデル、Kinetic シミュレーション他):1サンプリン グデータ=400×100×100×8×4bytes=128MBなどがある。こうして、日本の宇宙天気研究促進と国際貢献に役立てる。


4.データベース公開の具体的方法

宇宙天気研究データベースの公開も、S-RAMPデータベースの場合と同様に、利用者の数とデータ量 によって次に示す4種類のカテゴリーに分類してデータベースを公開する。即ち、
カテゴリー1:利用者が多い中規模までのデータはオンラインで提供・公開、
カテゴリー2:利用者が多い大量のデータはCD-ROM原版作成・プレス配付、
カテゴリー3:利用者が限られた大量のデータCD-ROM原版作成(枚数限定)・必要に応じてプレス・提供、
カテゴリー4:源データとして保管する大量のデータはDVD-RAMで源データ保管し、必要に応じて貸し出す
などして利用に供する。 インターネット(Web)でのS-RAMPデータベースカタログ(英語版と日本語版)の公開は、平成11年 3月にテスト限定公開を行って検討した後、平成11年6月から公開実施している。宇宙天気研究データベースは、 既存のS-RAMPデータベースに追加するのと並行して、CAWSESに繋がる新規のデータベースとして2重に 登録して公開する。S-RAMPデータベースでのCD-ROMオリジナル版作成・プレス配布は,観測と シミュレーション・モデリングのデータに関して、平成14年11月までに34原版を作成してプレス配布 してきた。平成14年度はオンラインでのデータ提供・公開の内容を更に充実させて、当初計画のS-RAMP データのオンライン公開・CD-ROMプレス配布を完結させる予定である。 宇宙天気研究データベースの作成では、各研究機関の委員が責任を持って、研究者と謝金で雇用する アルバイトの人が協力して、個々のデータ入力・作成を行い、まとめ役のSTE研では、教官、研究支援職員、 アルバイトの人が協力して、データの追加、WEB公開データの更新を行う。 国立情報学研究所を中心とする全国大学間の学術情報システムでの可能性は、今後話し合っていきたい。 データ公開の具体的な方法・利用制限に関しては、Webでの公開データは、アカデミックな利用であれば 特に制限は設けない。CD-ROMは原則として研究グループを代表する共同研究者に配布し、更に要求に応じて配布する。

5.想定している利用対象者及び想定される利用内容

太陽地球システムの短期変動(宇宙天気)と長期変動(宇宙気候)を解明する、CAWSES国際協同研究 (Climate And Weather of the Sun-Earth System, 2004-2008年)に参加する国内外の共同研究者 が利用の主体であるが、かなりの研究者がS-RAMP国際共同研究者とも重なっている。国内でも、宇宙 天気研究として、太陽から地球までの様々な観測データと解析データ及びモデリング/シミュレーション 結果を持ち寄って、宇宙天気予測の研究会が毎年数回開催されており、それらの会議・研究会の参加者は 中心の利用対象者となる。また、宇宙天気研究は、人類に共通の太陽地球システムを研究するので、 米国、欧州、中国などでも組織的に進められており、それらの世界中の宇宙天気研究者が利用対象者である。

利用内容に関しては、日本の研究者が観測したデータは、国内でデータベースすることが必須であり、 日本の研究者によって開発・発展させられたデータ解析、モデリング/シミュレーションのソフトウエア と計算結果は、我が国が独自にデータベースを作成する以外に方法がない。このような日本オリジナルの 宇宙天気データベースを我が国から発信することにより、国際相互データ・研究情報交換によって、我が 国の研究者も世界中の研究者もお互いに、より多くのデータを相互利用することによって、人類に共通の 宇宙天気国際協同研究をより合理的に遂行できる。

このように国内外のCAWSES国際協同研究者やS-RAMP国際共同研究者からの利用が主であるが、その他に、 宇宙天気は広く一般社会でも興味を持たれており、Webでの公開データは一般からの参照も多数ある。


6.利用者からのアクセスを簡便にするための工夫

宇宙天気研究データベースの公開は、これまでのS-RAMPデータベースの場合と同様に、WebのHomepage とデータカタログマニュアルの作成で、英文を基本にして和文も並行して作成する。また、個々のデータは、 制作者・責任者を明記して、データ公開のポリシィを明示するのと同時に、更に詳しい情報を欲しい場合の 連絡者を明記して、利用者からのアクセスの便宜を図っている。また、CD-ROM作成は、データ利用者が世界 中の太陽地球系科学研究者であることを鑑み、全て英文で作っている。また、データの所在情報が重要であ ることから、国内の太陽地球科学データの所在情報を示したHomepageを充実させると共に、データカタログ マニュアルを英文と和文で作成して、国内外の共同研究者に広く配布している。